乳がんに関する2024年アッシジ・シンクタンク：乳房温存療法後の腫瘍床ブーストの使用に焦点を当てて

概要

乳房全体照射後の腫瘍床ブーストは10年局所再発を半減させる一方、審美性と線維化を悪化させ、生存益は示さないと総括されました。10年絶対減少3%の閾値を用いて、ブーストの省略と実施を患者との共有意思決定で検討する実践的枠組みが提案されています。

主要発見

• ブースト照射は乳房全体照射後の10年局所再発を約半減させる。
• 局所再発の低下にもかかわらず全生存の改善は認められない。
• ブーストにより審美性が低下し線維化が増加する。
• 10年絶対減少が3%未満なら省略、3%以上なら共有意思決定を推奨。
• 省略が安全なサブグループの同定とブースト体積の精緻化が求められる。

臨床的意義

10年局所再発減少3%の閾値に基づく共有意思決定を導入し、低リスク例では審美性を優先してブーストを省略、必要例ではブースト体積の精緻化を図るべきです。

限界

• 一次データのないコンセンサスレビューであり、出版・選択バイアスの影響を受けうる。
• 情報源の異質性により一般化可能性が制限され、患者レベルのメタ解析を欠く。

今後の方向性

ブースト省略が安全な低リスク群の前向き同定と、審美的毒性を抑えるための精密なブースト体積設定を検証する試験が必要。