ドイツ環境試料バンク(2000–2021年)の尿検体における紫外線吸収剤DHHB曝露の評価:DHHB中の不純物ジ-n-ヘキシルフタル酸(DnHexP)の影響の検討
総合: 80.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 9
概要
2000〜2021年の24時間尿250検体で、DHHB特異的代謝物(DHB、EHB)は2012年以降に出現・増加し、曝露の上昇が示唆された一方、推定摂取量は無影響量を大きく下回った。後向き投与実験では、DHHB中の不純物DnHexPに由来するフタル酸代謝物の排泄が用量依存的に確認され、汚染DHHBがフタル酸曝露に寄与し得ることが示唆された。
主要発見
- 2000〜2021年の24時間尿250検体で、DHHB特異的代謝物DHB(18%)とEHB(13%)が2012年に初検出され、その後増加した。
- 推定日摂取量中央値は37 ng/kg体重/日で、無影響量2,900 mg/kg体重/日を大きく下回った。
- AHB(87%検出)はDHHB特異的ではなく、曝露評価に限界がある。
- 後向き経口投与では、DHHB不純物に由来するDnHexP代謝物が用量依存的に排泄され、MnHexPの粗い排泄率45%が得られた。
- 本結果は、化粧品におけるDHHBの安全性再評価と、DHHBおよびDnHexP双方のバイオモニタリング監視強化を支持する。
臨床的意義
DHHB含有製品が汚染されている場合、DnHexP曝露が生じ得ることを皮膚科医や公衆衛生医は認識し、高リスク群への助言や最新ガイダンスの把握が望まれる。規制当局と製造者はDHHBの純度確認と、HBMにおけるDnHexP代謝物の監視を強化すべきである。
なぜ重要か
広く使用される日焼け止め成分中の不純物を介したフタル酸曝露という見落とされがちな経路を特定し、化粧品の安全性評価と規制に直結する知見を提供するため。
限界
- 検体は冬季採取であり、日焼け止め由来曝露を過小評価している可能性がある。
- AHBはDHHB特異性に欠け、曝露原因の特定を難しくする。
- 投与実験での用量配分の不確実性により、正確な排泄率推定に限界がある。
- 横断的設計のため、個々の経時的曝露パターンは評価できない。
今後の方向性
DHHBサプライチェーンのDnHexP汚染監査を行い、HBMを夏季・多様集団へ拡大し、製品レベルの不純物基準を設定、DHHB曝露に特異的なバイオマーカーの妥当性確認を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- III - ヒトバイオモニタリングの観察研究に投与実験を補完した妥当な設計。
- 研究デザイン
- OTHER