キトサン被覆リポソームの表面アセチル化による有機溶媒中でのリポソーム系ナノカプセル懸濁
総合: 75.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 6引用可能性: 8
概要
キチン沈着リポソームは100%エタノール中でコロイド安定性を維持し、イソドデカンなど難水溶性溶媒への移送と疎水性有効成分の内包を可能にしました。アセチル化度が溶媒系での安定性を調節し、膜剛性の上昇により堅牢なカプセルが化粧品・医療用途の処方に適すると示されました。
主要発見
- キトサン被覆リポソームの表面アセチル化により膜の相転移温度が上昇し、剛性が増したキチン沈着カプセルが得られた。
- カプセルは100%エタノール中で安定懸濁し、イソドデカンなど難水溶性溶媒へ移送しても凝集や破壊を起こさなかった。
- コロイド安定性はアセチル化度と溶媒に依存し、水中では粒径が増加する一方、水—有機溶媒混合系では減少し、エタノール/DMSOとアセトンで安定性傾向が逆転した。
- 疎水性有効成分(α-トコフェロール)の内包に成功した。
- UV-Vis、TEM、DLS、ゼータ電位、接触角などの包括的物性評価で、良好な外観と表面特性が確認された。
臨床的意義
皮膚科・化粧品処方において、油性やハイドロアルコール製剤での安定化、疎水性有効成分の高効率内包および制御放出を可能とし、外用薬・化粧品の有効性や使用感の向上に資する可能性があります。
なぜ重要か
リポソーム系カプセルを純有機溶媒中で懸濁可能とした初報であり、油性基剤を用いる化粧品製剤や疎水性有効成分の送達選択肢を大幅に拡張します。
限界
- 皮膚送達・刺激性・安全性のin vivoデータがない。
- 長期保存安定性や産業規模へのスケールアップ検討が未実施。
今後の方向性
皮膚浸透・刺激性、長期安定性、各種有効成分や油との適合性を評価し、既存のナノエマルションやリポソームと臨床グレード製剤で比較検証する必要があります。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例集積
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- V - ヒト・動物被験者を伴わない前臨床のin vitro材料・製剤研究。
- 研究デザイン
- OTHER