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SPOCK2はMMP2を介して未熟膵β細胞の増殖と機能を制御する

Experimental & molecular medicine2025-01-01PubMed
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8

概要

SPOCK2は未熟β細胞の増殖を抑えるECM由来のブレーキとして機能します。SPOCK2欠損でMMP2が上昇しβインテグリン–FAK–c-JUN経路が活性化、外因性MMP2投与でSC-β細胞の短期・長期増殖が促進され、グルコース刺激インスリン分泌も強化されました。本研究は移植に向けた機能的SC-β細胞拡大量産の実行可能な経路を示します。

主要発見

  • 双方向発現操作と単一細胞RNA-seqにより、SPOCK2が未熟β細胞増殖のECM由来抑制因子であると同定された。
  • SPOCK2欠損はMMP2の発現・活性を高め、βインテグリン–FAK–c-JUNシグナルを活性化する。
  • 外因性MMP2はSC-β細胞の短期・長期の著明な拡大とin vitro/in vivoでのGSIS改善をもたらす。

臨床的意義

SPOCK2阻害やMMP2活性化により移植前にSC-β細胞を拡大し、移植片の量と機能を高める可能性を示します。一方で、増殖と成熟のバランスおよびマトリックス改変のオフターゲット影響の評価が必要です。

なぜ重要か

未熟ヒトβ細胞の増殖と機能を規定するECM–MMP–インテグリン軸を新規に提示し、糖尿病細胞治療に向けたSC-β細胞の量産戦略を具体化した点で画期的です。

限界

  • MMP2介在の拡大の安全性・持続性はヒトで未確立
  • 細胞外マトリックス改変のオフターゲット影響に対する評価が必要

今後の方向性

SPOCK2–MMP2–インテグリン軸の低分子・生物学的モジュレーターを探索し、拡大量産後の成熟軌跡を解明、さらに大型動物の移植モデルで有効性・安全性を検証する。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 前臨床の機序研究(in vitro/in vivo)であり、ヒト臨床アウトカムは未評価
研究デザイン
OTHER