妊娠中に全身性グルココルチコイドに曝露した子どもの精神障害
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
出生1,061,548例の全国コホートで、妊娠中の全身性グルココルチコイド曝露は、母体のリスク層にかかわらず、15歳時の自閉スペクトラム症、ADHD、気分・不安・ストレス関連障害のリスク上昇と関連しました。アクティブコンパレータおよび兄弟内解析でも概ね一貫していましたが、疾患重症度による残余交絡は否定できません。
主要発見
- 早産リスク群では、曝露でASD(6.6%対4.3%、RR1.5)、ADHD(5.8%対4.3%、RR1.3)、気分・不安・ストレス関連障害(7.2%対4.6%、RR1.5)が上昇。
- 自己免疫・炎症性疾患群でも、ASD(RR1.3)、ADHD(RR1.3)、気分・不安・ストレス関連障害(RR1.4)が上昇。
- アクティブコンパレータおよび兄弟内解析で概ね支持されたが、疾患重症度による交絡の可能性は残る。
臨床的意義
妊婦には、全身性グルココルチコイド使用に伴う神経発達および気分・不安リスクを説明し、適正使用(必要最小限の用量・期間)と、可能であれば代替手段の検討を行うべきです。
なぜ重要か
妊娠中の全身性グルココルチコイド使用に関するリスク・ベネフィット評価を支える大規模で方法論的に堅牢なエビデンスを提供します。
限界
- 観察研究であり、疾患重症度や適応による残余交絡の可能性がある。
- 曝露・アウトカムがレジストリ由来で、分類誤りの可能性がある。
今後の方向性
用量反応、投与時期、薬剤別リスクの検討を進め、機序研究や因果推論手法を組み合わせてリスク推定を精緻化する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後/予防
- エビデンスレベル
- II - アクティブコンパレータや兄弟内比較を用いた大規模住民ベース観察コホート。
- 研究デザイン
- OTHER