シャペロン介在性のミトコンドリア輸送受容体TOM70の挿入は食餌誘発性肥満から保護する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
本研究は、ストレス誘導性シャペロンPPIDがTOM70を外側ミトコンドリア膜へ挿入し、褐色脂肪細胞の呼吸・熱産生を高めることを示しました。肥満マウスでは体温調節を保ち体重増加を抑制し、エネルギー代謝を調整する小胞体ストレス応答性シャペロン経路を明らかにしました。
主要発見
- PPIDはPPIase活性とC末端TPRドメインを介してTOM70の外側ミトコンドリア膜挿入を駆動する。
- TOM70挿入の促進は褐色脂肪細胞の呼吸・熱産生機能を改善する。
- 肥満マウスでPPID–TOM70経路は寒冷や高カロリー条件下の体温と体重を調節する。
臨床的意義
前臨床段階ながら、PPID–TOM70挿入やその制御ドメインを標的化することで、肥満やメタボリックシンドロームにおける適応的熱産生を強化する新たな治療戦略となり得ます。
なぜ重要か
ミトコンドリア膜蛋白質挿入の新たなシャペロン依存性制御点を明らかにし、熱産生と肥満リスクに直結するためです。古典的ホルモン経路以外の抗肥満標的の機序的基盤を提供します。
限界
- ヒトでの検証がない前臨床モデルである
- PPID活性操作の安全性とオンターゲット特異性は臨床未検証
今後の方向性
ヒト脂肪細胞でのPPID–TOM70制御の検証と創薬可能なノードの同定、より高次生物での心代謝安全性と有効性評価が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物・細胞モデルに基づく前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER