妊娠糖尿病に対する経口血糖降下薬とインスリンの比較:ランダム化臨床試験
総合: 78.0革新性: 6インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
本多施設非劣性RCT(n=820)では、逐次的経口療法(メトホルミン+必要時グリベンクラミド、目標未達時はインスリン切替)は、LGA児予防でインスリンに非劣性を示しませんでした(23.9%対19.9%)。母体低血糖は経口療法で多く(20.9%対10.9%)、その他の母体・新生児転帰は概ね同等でした。
主要発見
- 主要評価項目:LGA児は経口23.9%対インスリン19.9%;非劣性は未達(絶対差4.0%、95% CI -1.7%~9.8%)。
- 経口群の79%はインスリン追加なしで血糖目標を達成。
- 母体低血糖は経口群で高頻度(20.9%)であり、インスリン群(10.9%)より多かった。
- 帝王切開、子癇前症、新生児転帰などその他の副次評価項目は両群で同等。
臨床的意義
薬物療法が必要な妊娠糖尿病では、LGA児リスク最小化の観点からインスリンを標準とすべきです。インスリンが受け入れ困難な場合に限り逐次的経口療法を慎重に検討し、母体低血糖増加への説明と厳密なモニタリングが必要です。
なぜ重要か
妊娠糖尿病という頻度が高く周産期予後に直結する領域における第一選択薬の是非を直接検証し、経口薬がインスリンと同等との前提に疑義を呈する重要なエビデンスです。
限界
- オープンラベルデザインのためパフォーマンス・検出バイアスの可能性。
- 逐次アルゴリズムにグリベンクラミド救済を含み、施設慣行や集団により外的妥当性が異なる可能性。
今後の方向性
異なる経口療法とインスリンの直接比較盲検RCT(ベースラインリスク層別化)や、児の長期予後・母体心代謝アウトカムの評価が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 非劣性マージンを事前設定したランダム化比較試験。
- 研究デザイン
- OTHER