乳製品摂取と心血管疾患発症に関する世界的解析
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
二大バイオバンクと更新メタ解析により、乳製品とCVDの関連は集団により異なりました。中国(主に全脂乳)ではCHD上昇と脳卒中低下、英国ではCVD・CHD・虚血性脳卒中の低リスクで、特にチーズと低脂肪乳の防御的関連が顕著でした。統合解析でもCVDと脳卒中のリスクが軽度に低下しました。
主要発見
- 中国では、常習的な乳製品摂取(主に全脂乳)が、非摂取者と比べてCHDリスク9%増加、脳卒中リスク6%低下と関連。
- 英国では、総乳製品摂取がCVD・CHD・虚血性脳卒中の低リスクと関連し、チーズと低脂肪乳がCVD低下に寄与。
- メタ解析では、総乳製品摂取はCVD 3.7%低下、脳卒中6%低下と関連。
- チーズおよび低脂肪乳製品で逆相関が最も強かった。
臨床的意義
栄養指導では、チーズや低脂肪乳製品は心血管保護的である可能性を強調しつつ、全脂乳中心の食習慣では集団差に留意が必要です。地域の食文化と心代謝リスク全体に応じた助言が望まれます。
なぜ重要か
乳製品の脂肪種別・製品種別に着目し、国・文化差をまたぐ大規模コホートとメタ解析を統合して長年の論争を整理しました。画一的でない栄養指針策定に資する知見です。
限界
- 観察研究であり、残余交絡や逆因果の影響を受けうる。
- 食事評価や乳製品サブタイプの分類精度に限界があり、文化的食習慣の差が比較を難しくする。
今後の方向性
乳製品サブタイプの置換試験(ランダム化・準実験)的研究、発酵・カルシウム・飽和脂肪マトリックスに関する機序研究、地域特異的な栄養モデリングによる指針策定が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- II - 大規模バイオバンクを含むコホート研究のメタアナリシス(ランダム化試験ではない)。
- 研究デザイン
- OTHER