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性ホルモンが褐色細胞腫・傍神経節腫および胃腸膵内分泌腫瘍に及ぼす影響

European journal of endocrinology2025-01-13PubMed
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8

概要

患者由来PPGLモデルで、エストラジオールおよびプロゲステロンが抗腫瘍作用を示し、とくにNF1変異腫瘍で顕著であった。ERα陽性腫瘍はエストラジオールに感受性を示し、GPER作動薬G-1は性差を伴う強力な抗腫瘍活性を示した。GEP-NETでは腫瘍促進効果は認められず、ホルモン/GPERシグナルが治療経路として示唆される。

主要発見

  • エストラジオールおよびプロゲステロン(各1 µM)はPPGLの細胞生存率を低下させ、NF1(クラスター2)腫瘍で最も効果が強かった。
  • ERα陽性はPPGL 11/36例(頭頸部PGL 4/4)で認められ、ERα陽性腫瘍はエストラジオールに有意に反応した。
  • GPER作動薬G-1は強力な抗腫瘍活性を示し、男性患者由来およびNF1変異腫瘍で反応性が高かった。
  • 高用量テストステロン(10 µM)は一部のAR陽性腫瘍で抗腫瘍作用を示したが、DHEAS/テストステロン1 µMでは効果はなかった。
  • GEP-NETでは性ホルモンによる腫瘍増殖促進効果は認められなかった。

臨床的意義

PPGL(とくにHNPGLやNF1変異腫瘍)でERα/AR/GPERの受容体プロファイリングを検討し、外因性ホルモン使用には注意が必要である。GPER作動薬G-1は橋渡し研究および性差を考慮した臨床試験の開発が求められる。

なぜ重要か

性ホルモン受容体およびGPERシグナルがPPGL増殖制御に関与する機序的証拠を示し、HNPGLでのERα陽性率を明らかにし、性別および遺伝子型に応じたG-1の治療候補性を提示した点が重要である。

限界

  • 臨床アウトカム試験がなく、主としてex vivo/in vitroデータである
  • サンプルサイズが比較的小さく、外的妥当性に不確実性がある

今後の方向性

NF1状態および性別で層別化したGPER作動薬(例:G-1)のバイオマーカードリブン早期試験を実施し、妊娠・ホルモン補充療法時のPPGLにおける内分泌療法リスクを明確化する。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
IV - 患者由来培養・腫瘍解析による機序研究で臨床アウトカムを伴わない
研究デザイン
OTHER