性ホルモンが褐色細胞腫・傍神経節腫および胃腸膵内分泌腫瘍に及ぼす影響
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
患者由来PPGLモデルで、エストラジオールおよびプロゲステロンが抗腫瘍作用を示し、とくにNF1変異腫瘍で顕著であった。ERα陽性腫瘍はエストラジオールに感受性を示し、GPER作動薬G-1は性差を伴う強力な抗腫瘍活性を示した。GEP-NETでは腫瘍促進効果は認められず、ホルモン/GPERシグナルが治療経路として示唆される。
主要発見
- エストラジオールおよびプロゲステロン(各1 µM)はPPGLの細胞生存率を低下させ、NF1(クラスター2)腫瘍で最も効果が強かった。
- ERα陽性はPPGL 11/36例(頭頸部PGL 4/4)で認められ、ERα陽性腫瘍はエストラジオールに有意に反応した。
- GPER作動薬G-1は強力な抗腫瘍活性を示し、男性患者由来およびNF1変異腫瘍で反応性が高かった。
- 高用量テストステロン(10 µM)は一部のAR陽性腫瘍で抗腫瘍作用を示したが、DHEAS/テストステロン1 µMでは効果はなかった。
- GEP-NETでは性ホルモンによる腫瘍増殖促進効果は認められなかった。
臨床的意義
PPGL(とくにHNPGLやNF1変異腫瘍)でERα/AR/GPERの受容体プロファイリングを検討し、外因性ホルモン使用には注意が必要である。GPER作動薬G-1は橋渡し研究および性差を考慮した臨床試験の開発が求められる。
なぜ重要か
性ホルモン受容体およびGPERシグナルがPPGL増殖制御に関与する機序的証拠を示し、HNPGLでのERα陽性率を明らかにし、性別および遺伝子型に応じたG-1の治療候補性を提示した点が重要である。
限界
- 臨床アウトカム試験がなく、主としてex vivo/in vitroデータである
- サンプルサイズが比較的小さく、外的妥当性に不確実性がある
今後の方向性
NF1状態および性別で層別化したGPER作動薬(例:G-1)のバイオマーカードリブン早期試験を実施し、妊娠・ホルモン補充療法時のPPGLにおける内分泌療法リスクを明確化する。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例集積
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- IV - 患者由来培養・腫瘍解析による機序研究で臨床アウトカムを伴わない
- 研究デザイン
- OTHER