メインコンテンツへスキップ

妊娠期の母体概日リズムは子孫の代謝可塑性を規定する

Cell metabolism2025-01-16PubMed
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8

概要

機序研究により、妊娠期の母体概日破綻が子孫の肥満傾向を惹起し、非律動的摂食、視床下部のレプチン抵抗性、肝臓の時計再プログラム化を伴うことが示されました。子孫で活動期に合わせたカロリー制限は表現型をほぼ是正し、代謝可塑性の概日プログラミングの因果性を示唆します。

主要発見

  • 母体の概日破綻は胎盤および新生児体重を低下させたが、転写・構造的成熟は維持された。
  • 子孫では食餌誘発性肥満が増悪し、非律動的摂食、視床下部レプチン抵抗性、肝臓の概日再プログラム化を呈した。
  • 子宮内の概日不同調は母体‐胎児の位相関係と胎盤効率を変化させた。
  • 時間制限給餌のみでは肥満を防げず、活動期開始に合わせたカロリー制限で表現型がほぼ改善した。

臨床的意義

前臨床段階ながら、妊娠中の概日衛生(睡眠・覚醒の安定、光曝露、食事タイミング)に関する指導を支持し、子の代謝リスク低減を目的としたクロノニュートリション介入の臨床試験を促します。

なぜ重要か

母体の概日プログラミングが子孫の代謝疾患リスクを規定する軸を解明し、時間生物学・胎盤生物学・代謝学を横断する機序的連関を示したためです。

限界

  • 前臨床のマウスモデルであり、即時の臨床一般化に制約がある
  • 暴露期間・性差の詳細およびヒト検証コホートが報告されていない

今後の方向性

妊婦の概日指標と子の代謝転帰を結び付ける前向きコホート、妊娠中の栄養・光・睡眠の概日整合介入試験、胎盤時計経路の機序解明が求められます。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理/予防
エビデンスレベル
V - 動物実験による前臨床の機序的エビデンスであり、ヒトでの仮説生成段階
研究デザイン
OTHER