USP25は肝細胞でPPARαと直接相互作用し脱ユビキチン化により安定化させ、高脂肪食誘発MASLDを軽減する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
本研究は肝細胞におけるUSP25–PPARα経路を解明した。USP25はHis608依存的にPPARαのK48鎖(Lys429)を除去して安定化し、脂質蓄積を抑制する。MASLDではUSP25発現が低下し、Usp25欠損でHFD誘発脂肪化が増悪、肝細胞USP25誘導で保護効果が得られ、これらはPPARαに依存した。
主要発見
- ヒト・マウスのMASLDで肝細胞USP25発現が低下している。
- Usp25欠損はHFD誘発脂肪肝を増悪し、肝細胞でのUSP25誘導はMASLDに対して保護的である。
- USP25はPPARαに直接結合し、His608依存的にLys429のK48ユビキチン鎖を除去してPPARαを安定化させる。保護効果はPpara欠損で消失する。
臨床的意義
前臨床段階だが、USP25またはPPARαとの相互作用を標的化することで脂肪酸酸化を高め脂肪肝を軽減できる可能性がある。肝USP25発現をバイオマーカーとして治療層別化に応用できる余地がある。
なぜ重要か
薬剤介入可能な脱ユビキチン化酵素–核内受容体軸を同定し、in vivoで検証した点で新規性が高く、従来標的とは異なるMASLD治療の可能性を広げる。
限界
- 前臨床モデルであり、介入的ヒトデータがない
- USP25制御によるオフターゲット影響の包括的評価が未完了
今後の方向性
USP25調節薬の開発、肝USP25発現のバイオマーカー妥当性の検証、ヒトオルガノイドや早期MASLD臨床試験でのトランスレーショナル検証。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 細胞・マウスを用いた前臨床の機序研究
- 研究デザイン
- OTHER