過体重・肥満者における抗肥満薬の減量効果、安全性、心代謝・心理学的アウトカム:システマティックレビューとメタアナリシス
総合: 84.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
RCT 154件(112,515例)の統合により、抗肥満薬の順位付けが示されました。チルゼパチドは最大の体重減少と血圧・血糖の改善を示し、セマグルチド/リラグルチドは主要心血管イベントを低減しました。一方、ナルトレキソン/ブプロピオンは血圧上昇の懸念があり、フェンテルミン/トピラマートは心理的有害事象リスクが高めです。
主要発見
- RCT 154件(n=112,515)で、チルゼパチドは最大の体重減少(加重平均差 -11.69 kg、95%CI -19.22~-4.15)を示しました。
- チルゼパチドは血圧・血糖低下効果で他剤を上回りました。
- セマグルチドおよびリラグルチドは主要心血管イベント(MACE)を低減しました。
- ナルトレキソン/ブプロピオンは血圧上昇リスクと関連しました。
- フェンテルミン/トピラマートは心理的有害事象のリスクが高めでした。
臨床的意義
最大の減量と広範な心代謝改善を狙う場合はチルゼパチドを優先し、主要心血管イベント低減にはセマグルチド/リラグルチドを考慮します。ナルトレキソン/ブプロピオン使用時は血圧、フェンテルミン/トピラマートでは心理的有害事象を厳密にモニターし、併存症や忍容性に応じて最適化します。
なぜ重要か
現代の抗肥満薬を横断的に比較し、体重減少のみならず心代謝・心理学的プロファイルまで踏まえた薬剤選択に資する高確度エビデンスを提供します。
限界
- 試験間・集団間の不均一性が統合推定に影響し得る
- 要約データに依存するため個々の患者レベルの修飾因子解析が制限される
今後の方向性
直接比較RCTや個別患者データ(IPD)メタアナリシスにより、サブグループや併存症別の有効性・安全性を精緻化し、維持効果、MACE、腎アウトカム、実臨床でのアドヒアランスの長期評価が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - ランダム化比較試験を対象としたシステマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究デザイン
- OTHER