肝臓を支配する迷走神経求心性ニューロンは食餌誘発性肥満マウスにおける肝脂肪化と不安様行動の発現に必須である
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
肝臓支配の迷走神経求心性ニューロンを選択的に障害すると、エネルギー消費が増加し、食餌誘発性肥満を予防、肝脂肪化を軽減し、不安様行動も減少しました。耐糖能は両性で改善し、男性ではインスリン感受性が特異的に上昇しました。肝臓—脳軸が代謝と行動の双方を制御することが示唆されます。
主要発見
- 肝臓投射迷走神経求心性ニューロンの欠失はエネルギー消費を増やし、食餌誘発性肥満を予防した。
- 同ニューロンの欠失は肝脂肪化を抑制し耐糖能を改善、男性ではインスリン感受性が上昇した。
- 不安様行動が減少し、肝臓—脳軸が代謝と行動の調節に関与することが示唆された。
臨床的意義
前臨床段階ながら、肝臓—脳(迷走神経)軸の標的化(選択的ニューロモデュレーションや末梢求心路調節など)は、MASLD治療の補完や肥満患者の不安併存症対策に寄与し得ます。
なぜ重要か
肝臓から脳への特定の神経経路が脂肪肝と不安様行動を因果的に結び付けることを示し、MASLDや精神症状への神経調節的治療の可能性を拓きます。
限界
- マウスモデルでの所見であり、ヒトでの検証が必要。
- 肝臓から脳への分子シグナルの詳細な機序は未解明。
今後の方向性
肝臓—脳シグナルの分子媒介因子の同定、神経調節介入の検証、ヒトでのバイオマーカー評価と橋渡し可能性の検討が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の機序研究(マウス)で代謝・行動に影響する神経経路を同定。
- 研究デザイン
- OTHER