マウスにおけるAAVトロピズムの包括的アトラス
総合: 81.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9
概要
10種のAAV血清型を全身投与した結果、副腎・精巣・卵巣などの予期せぬ組織を含む広範なトロピズムが示されました。AAV4は汎内皮性および膵β細胞指向性を示し、tdTomato活性化により高感度検出が可能でした。本アトラスは血清型選択の有用な指針となります。
主要発見
- ZsGreenよりもCre駆動tdTomato蛍光の方が形質導入細胞の検出感度に優れていた。
- 全身投与後、AAV3BとAAV4を除く全血清型で高い肝指向性を示した。
- 副腎・精巣・卵巣などの内分泌・生殖組織においても導入が確認された。
- AAVゲノムの生体内分布は免疫組織を除き蛍光シグナルと相関した。
- AAV4は汎内皮性トロピズムを示し、膵β細胞も標的化した。
臨床的意義
内分泌遺伝子治療において、AAV4の内皮・β細胞指向性など血清型選択の根拠となり、副腎・性腺へのオフターゲット導入を見越した用量設計や安全性評価を前臨床段階で最適化できます。
なぜ重要か
本資源は膵β細胞や副腎など内分泌標的を含む前臨床遺伝子治療における合理的なベクター選択を可能にします。AAV4の汎内皮性・β細胞指向性という新規性は臨床応用に直結する可能性があります。
限界
- マウスの前臨床データのみであり、人でのトロピズムは異なる可能性がある。
- 用量‐導入効率の定量関係や免疫組織での不一致の機序解明が未了。
今後の方向性
疾患モデルや大動物でのトロピズム検証、AAV4の内皮・β細胞指向性を活かしたカプシド工学、単一細胞・空間オミクスの統合による細胞種別ターゲティング地図の高精細化が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例集積
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- V - マウスにおけるベクタートロピズムの前臨床実験研究(基礎研究)。
- 研究デザイン
- OTHER