睡眠誘導性の視床下部ホルモンRaptinは食欲と肥満を抑制する
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
RCN2由来ペプチドホルモンRaptinが同定され、SCN−PVN回路により睡眠時に分泌が最大化することが示された。Raptinは視床下部および胃のGRM3に結合し、PI3K-AKTを介して食欲と胃排出を抑制し抗肥満作用を示す。ヒトデータでは、睡眠不足でRaptin分泌障害と肥満の関連、RCN2ナンセンス変異で夜間摂食症候群と肥満が確認された。
主要発見
- RCN2由来のペプチドホルモンRaptinを同定し、視交叉上核(AVP陽性)から傍室核への回路により睡眠時に分泌が頂点に達することを示した。
- Raptinは視床下部および胃のGRM3に結合し、PI3K–AKT経路を介して食欲を低下させ胃排出を遅延させる。
- 睡眠不足でRaptin分泌が減弱し、RCN2ナンセンス変異保有者では夜間摂食症候群と肥満を示した。
臨床的意義
代謝介入としての睡眠の重要性を強調するとともに、GRM3−Raptinシグナルを食欲抑制の治療標的候補として提案する。RaptinあるいはGRM3作動薬は生活習慣療法の補完となり得るが、安全性と有効性の検証が必要である。
なぜ重要か
睡眠とエネルギー恒常性をつなぐ未解明の内分泌軸(ホルモン−受容体系)を提示し、肥満や睡眠関連代謝異常の治療標的となり得るため重要である。
限界
- 前臨床中心であり、ヒトでの因果性と安全性は未確立。
- GRM3–Raptinシグナル操作の長期的な代謝・心血管影響は不明。
今後の方向性
RaptinアナログやGRM3作動薬の創製、肥満や睡眠障害患者での有効性・安全性評価、循環Raptinのバイオマーカー有用性の検証が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物モデル・細胞系・ヒト関連データによる前臨床機序的エビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER