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NFAT5はPRDX2転写抑制により肥満2型糖尿病でのβ細胞フェロトーシスを悪化させる

Cellular and molecular life sciences : CMLS2025-01-29PubMed
総合: 81.0革新性: 8インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 7

概要

肥満T2Dマウスおよびβ細胞モデルで、糖脂肪毒性下にNFAT5が上昇・核移行し、PRDX2転写抑制を介してβ細胞フェロトーシスを促進することが示された。β細胞特異的なNFAT5抑制によりフェロトーシスが低減し、インスリン分泌と耐糖能がin vivoで改善した。

主要発見

  • 糖脂肪毒性によりMIN6細胞および肥満T2Dマウスの膵島でNFAT5が増加・核移行する。
  • NFAT5はPRDX2プロモーターに結合して転写を抑制し、β細胞フェロトーシスとインスリン分泌不全を促進する。
  • β細胞特異的NFAT5ノックダウン(AAV8-RIP2-miR30-shNFAT5)によりフェロトーシスが減少し、インスリン分泌と耐糖能が改善する。

臨床的意義

NFAT5の抑制、PRDX2や抗酸化防御の強化、フェロトーシス調節薬の活用によりT2Dのβ細胞機能温存が期待され、フェロトーシス関連バイオマーカーの開発を後押しする。

なぜ重要か

NFAT5によるPRDX2抑制が駆動するβ細胞フェロトーシスという治療可能な経路を特定し、in vivoでの可逆性を示してNFAT5–PRDX2軸を治療標的候補として提示した。

限界

  • ヒトβ細胞および臨床T2Dへの翻訳性は未検証。
  • AAVによる遺伝子改変のオフターゲットや代償機構の影響は十分に検討されていない。

今後の方向性

ヒト膵島や糖尿病モデルでのNFAT5阻害やPRDX2増強法の検証、標準治療と併用したフェロトーシス標的治療の評価が必要である。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 動物モデルと細胞系による機序的研究で、経路と表現型救済を示した前臨床エビデンス。
研究デザイン
OTHER