短期メトホルミンは健康成人における糖質コルチコイド誘発毒性を防ぐ:無作為化二重盲検プラセボ対照試験
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
高用量プレドニゾン投与下の健常男性を対象とした二重盲検クロスオーバーRCTで、メトホルミンはインスリン感受性(Matsuda指数)を有意に改善し、脂質フラックスおよび脂肪組織の転写プログラムを好転させた。マルチオミクス解析からAMPK依存・非依存の経路が示唆され、筋障害や骨吸収マーカーも低下した。
主要発見
- プレドニゾン併用下でメトホルミンはインスリン感受性を改善(Matsuda指数差 −4.94、P<0.001)。
- メタボローム/トランスクリプトーム解析で脂肪酸合成関連遺伝子の低下と血中・脂肪組織の脂質フラックス変化を示した。
- 蛋白分解・骨吸収マーカーが低下し、AMPK抑制関連遺伝子がダウンレギュレート。GLP‑1や胆汁酸経路にも影響。
臨床的意義
ハイリスク患者において、短期の糖質コルチコイド誘発性インスリン抵抗性・代謝異常の軽減目的でメトホルミン併用を検討し得る。日常診療での導入には、患者集団・より長期での有効性と安全性の確認が望まれる。
なぜ重要か
メトホルミンがステロイド誘発性代謝毒性を予防し得ることを機序データとともに示した概念実証であり、高用量GCを要する多くの患者に外挿可能な戦略を示す。
限界
- サンプルサイズが小さく(n=18、主要解析17例)、介入期間が短い(各7日)
- 健常で痩せ型の男性のみを対象としており、慢性GC治療患者への一般化は不確実
今後の方向性
リウマチ・腫瘍など多様なGC治療患者における予防効果、より長期介入、ならびに高血糖・骨折・ミオパチーなどの臨床アウトカム評価が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバーのヒト試験
- 研究デザイン
- OTHER