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非正規のリソソーム性脂質分解は絶食時に脂肪組織エネルギー動員を駆動する

Nature communications2025-02-04PubMed
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9

概要

脂肪細胞においてLAL(LIPA)とMiT/TFE転写因子に依存するリソソーム性脂質分解が存在し、長時間の絶食で優位となる一方、急性のアドレナリン刺激下ではATGLなどの中性リパーゼが主導することを示しました。マウスおよびヒト由来の実験系で薬理・遺伝学的介入により機序を実証しています。

主要発見

  • LAL(LIPA)とMiT/TFE転写因子に依存する脂肪細胞のリソソーム性脂質分解プログラムを同定した。
  • 薬理学的・遺伝学的手法を用い、マウスおよびマウス/ヒト脂肪細胞・脂肪組織片で機能的に実証した。
  • 急性の絶食では中性リパーゼが、長期絶食ではリソソーム性脂質分解が優位となるモデルを提唱した。

臨床的意義

前臨床段階ながら、MiT/TFE–LAL軸の標的化により、絶食応答・脂肪量・代謝疾患の調節が可能となる潜在性があります。リソソーム性脂質分解のバイオマーカーは食事・薬物介入設計に資するかもしれません。

なぜ重要か

長期絶食時にリソソーム経路が脂質分解を主導するという発見は、代謝生理の前提を刷新し、エネルギー動員を標的とする新規治療戦略の可能性を開きます。

限界

  • 主として前臨床であり、ヒトin vivo臨床転帰データがない
  • 脂質分解以外の代謝影響(血糖、エネルギー消費など)のヒトでの全体像は未解明

今後の方向性

MiT/TFE–LALの薬理学的活性化/阻害を代謝疾患モデルで検証し、絶食や食事介入下でヒトのリソソーム性脂質分解を定量する研究が求められます。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 細胞・動物モデルを用いた前臨床の機序研究
研究デザイン
OTHER