感覚神経におけるPiezo2は全身および脂肪組織の代謝を制御する
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
複数の遺伝学的マウスモデルを用いて、Runx3/パルブアルブミン陽性感覚神経のPiezo2が熱産生脂肪のリモデリングと全身過代謝を抑制することを示した。Piezo2欠失は高脂肪食肥満からの保護、インスリン感受性改善、脂肪の褐色化・ベージュ化をもたらし、ノルエピネフリン上昇が関与すると考えられる。
主要発見
- Runx3/パルブアルブミン陽性感覚神経の操作で体脂肪が減少し、インスリン感受性と耐糖能が改善した。
- PV感覚神経でのPiezo2欠失は高脂肪食誘発性肥満から保護し、脂肪の褐色化・ベージュ化を誘導した。
- Piezo2が感知する機械刺激が感覚神経を介して全身過代謝を抑制するモデルを支持し、ノルエピネフリン上昇が関与する可能性が示唆された。
臨床的意義
ヒトでも保存されていれば、Piezo2介在の感覚シグナル調節により脂肪の熱産生を“微調整”し、抗肥満・インスリン増感治療を補完し得る。
なぜ重要か
古典的な交感神経回路を超え、脂肪組織と全身代謝を制御する感覚神経の機械受容シグナルという未解明の経路を解明し、新たな治療標的を提示する。
限界
- ヒトでの直接的検証を欠く前臨床マウス研究である。
- 機械受容とノルエピネフリン動態の機序的連関は因果的分解が今後必要。
今後の方向性
ヒト組織・モデルでのPiezo2感覚神経による脂肪熱産生制御の検証と、安全な薬理学的・神経調節的介入法の開発が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 遺伝学的マウスモデルによる前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER