lncRNA DSP-AS1由来Rループの減少がDSP遺伝子転写を抑制し、糖尿病性創傷治癒における再上皮化を阻害する
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
本研究は、糖尿病性創傷における新たなエピジェネティック機序を解明した。DSPプロモーターでのDSP-AS1介在Rループ形成低下によりTET3のリクルートと脱メチル化が阻害され、デスモプラキンが低下し、角化細胞のMETと再上皮化が障害される。
主要発見
- 糖尿病性創傷の再上皮化不全は、EMTではなく角化細胞のMET障害と関連した。
- デスモプラキン(DSP)の低下は、DSPプロモーターでのTET3占有とTET3依存性脱メチル化の減少に起因した。
- lncRNA DSP-AS1はDSPプロモーターでRループを形成しTET3を誘導するが、糖尿病皮膚ではDSP-AS1低下によりRループが減少し、DSP転写が抑制された。
臨床的意義
DSP-AS1機能の増強、DSPプロモーターでのRループ安定化、TET3リクルート促進などにより、難治性糖尿病性創傷の再上皮化促進が期待される。
なぜ重要か
再上皮化障害を駆動するlncRNA–Rループ–TET3軸を同定し、糖尿病足潰瘍に対する核酸医薬・エピジェネティック治療の新規標的を提示する。
限界
- 主として前臨床研究であり種差の影響が懸念される。ヒト試料での検証範囲は抄録からは限定的。
- Rループ/TET3操作の治療応用は、オフターゲット等のゲノム安全性評価が必須。
今後の方向性
糖尿病足潰瘍生検でのDSP-AS1/TET3/Rループ指標の検証、DSP発現とMETを回復させるRNA医薬・エピジェネティック標的の開発、Rループ標的化の安全性評価が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序解明研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 糖尿病モデルと分子実験による前臨床の機序研究
- 研究デザイン
- OTHER