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lncRNA DSP-AS1由来Rループの減少がDSP遺伝子転写を抑制し、糖尿病性創傷治癒における再上皮化を阻害する

Advanced science (Weinheim, Baden-Wurttemberg, Germany)2025-02-08PubMed
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8

概要

本研究は、糖尿病性創傷における新たなエピジェネティック機序を解明した。DSPプロモーターでのDSP-AS1介在Rループ形成低下によりTET3のリクルートと脱メチル化が阻害され、デスモプラキンが低下し、角化細胞のMETと再上皮化が障害される。

主要発見

  • 糖尿病性創傷の再上皮化不全は、EMTではなく角化細胞のMET障害と関連した。
  • デスモプラキン(DSP)の低下は、DSPプロモーターでのTET3占有とTET3依存性脱メチル化の減少に起因した。
  • lncRNA DSP-AS1はDSPプロモーターでRループを形成しTET3を誘導するが、糖尿病皮膚ではDSP-AS1低下によりRループが減少し、DSP転写が抑制された。

臨床的意義

DSP-AS1機能の増強、DSPプロモーターでのRループ安定化、TET3リクルート促進などにより、難治性糖尿病性創傷の再上皮化促進が期待される。

なぜ重要か

再上皮化障害を駆動するlncRNA–Rループ–TET3軸を同定し、糖尿病足潰瘍に対する核酸医薬・エピジェネティック治療の新規標的を提示する。

限界

  • 主として前臨床研究であり種差の影響が懸念される。ヒト試料での検証範囲は抄録からは限定的。
  • Rループ/TET3操作の治療応用は、オフターゲット等のゲノム安全性評価が必須。

今後の方向性

糖尿病足潰瘍生検でのDSP-AS1/TET3/Rループ指標の検証、DSP発現とMETを回復させるRNA医薬・エピジェネティック標的の開発、Rループ標的化の安全性評価が必要。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序解明研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 糖尿病モデルと分子実験による前臨床の機序研究
研究デザイン
OTHER