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シクロトリアザジスルホンアミドによるTSH受容体発現抑制:バセドウ病治療の可能性

Endocrinology2025-02-18PubMed
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 7

概要

CADA誘導体VGD040はTSH受容体の表面発現を選択的に低下させ、ヒト甲状腺細胞で下流シグナルとサイログロブリン分泌を抑制し、マウスで毒性なく甲状腺ホルモン分泌を低下させた。受容体ダウンレギュレーションという初の戦略が、バセドウ病の新規薬物治療候補となる可能性を示す。

主要発見

  • VGD040はHEK-TSHR細胞でTSHR表面発現を低下させ、類縁の糖蛋白ホルモン受容体に対して選択性を示した。
  • ヒト甲状腺細胞でTSHR表面発現低下によりcAMP産生とサイログロブリン分泌を抑制した。
  • BALB/cマウスで有効用量において毒性を示さず、TSH刺激時の甲状腺ホルモン分泌を低下させた。

臨床的意義

ヒトでの有効性が確認されれば、VGD040様薬剤はTSHRシグナルを直接低下させることで、抗甲状腺薬・放射性ヨウ素・手術に代わる薬物選択肢となり、全身毒性の軽減が期待できる。

なぜ重要か

受容体発現を選択的に低下させる機序的新規戦略を提示し、in vivo有効性も示した。バセドウ病における非破壊的治療のアンメットニーズに応える可能性がある。

限界

  • 前臨床段階であり、ヒトでの薬物動態・安全性・有効性データがない
  • 長期影響、免疫原性、オフターゲットな分解リスクが未解明

今後の方向性

GLP毒性・薬物動態を含むIND前試験へ進み、最終的に第1相試験で安全性・ターゲット関与・バイオマーカー(例:サイログロブリン、遊離T4)を評価する。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
治療
エビデンスレベル
IV - 前臨床の実験的エビデンス(in vitroおよびマウスin vivo)、ヒト臨床データなし
研究デザイン
OTHER