褐色脂肪組織は糖尿病腎症雄マウスモデルにおいてNRG4を介して足細胞アポトーシスを軽減する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
BAT特異的/全身Nrg4欠損マウス、AAVによるNRG4補充、BAT移植、in vitro足細胞実験を用いて、BAT由来NRG4が糖尿病腎症での足細胞アポトーシスとアルブミン尿を低減することを示しました。機序はAkt–GSK-3β経路の活性化が中心でした。
主要発見
- BAT特異的Nrg4欠損で足細胞アポトーシスが約47%増加し、尿中アルブミン/クレアチニン比が約42%上昇した。
- AAVによるNRG4補充およびBAT移植により、欠損マウスのアポトーシスとアルブミン尿が逆転した。
- 組換えNRG4投与や野生型褐色脂肪細胞との共培養は、Akt–GSK-3βシグナルを介して高グルコース誘導の足細胞アポトーシスを抑制した。
臨床的意義
前臨床段階ながら、NRG4シグナルやBAT機能の強化が糖尿病腎症におけるアルブミン尿や足細胞障害を軽減する戦略となり得ます。BAT活性化を促す代謝介入が腎保護的である可能性も支持されます。
なぜ重要か
褐色脂肪組織から腎臓への新たな内分泌軸を提示し、NRG4が糖尿病における腎保護の機序的媒介であることを示しました。BAT由来因子を標的とする糖尿病腎症の予防・治療戦略に道を拓きます。
限界
- 結果は雄マウスを用いた前臨床研究に基づき、人への外挿性は未確立である。
- NRG4やBAT活性の操作に伴う全身的な長期影響・安全性は未評価である。
今後の方向性
足細胞上のNRG4受容体標的の同定、大動物モデルでのNRG4アナログやBAT活性化薬の評価、糖尿病腎症でのバイオマーカー駆動型初期臨床試験が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物・細胞系を用いた前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER