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GLP-1受容体作動薬は飲酒量を減少させるが、DPP-4阻害薬は効果がない

The Journal of clinical investigation2025-03-06PubMed
総合: 81.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9

概要

傾向スコアマッチングを用いたVA大規模コホートと齧歯類実験により、GLP-1受容体作動薬は非曝露者やDPP-4阻害薬群に比してAUDIT-Cの飲酒スコアをより低下させました。DPP-4阻害薬は血糖低下にもかかわらず飲酒量を減らさず、特異性が確認されました。GLP-1RAのAUD治療へのリポジショニングを支持します。

主要発見

  • GLP-1RA群は非曝露群(DiD 0.09[95%CI 0.03–0.14], P=0.0025)およびDPP-4阻害薬群(DiD 0.11[95%CI 0.05–0.17], P=0.0002)よりもAUDIT-Cの低下が大きかった。
  • ベースラインでAUDまたは危険飲酒の患者で効果はより大きかった(例:非曝露群に対するDiD最大1.38、P<0.0001)。
  • DPP-4阻害薬はヒトで飲酒量を減少させず、マウスやアルコール依存ラットでも飲酒行動を低下させなかった(血糖低下は確認)。
  • 齧歯類での逆トランスレーショナル研究はDPP-4阻害薬の標的作動(血糖低下)を確認したが、飲酒行動への効果はなく、経路特異性が示唆された。

臨床的意義

RCTの結果を待つ間、特に2型糖尿病や肥満を併存するAUD患者でGLP-1RAの使用を検討し得ます。DPP-4阻害薬に飲酒減少効果は期待できません。GLP-1RA導入時にAUDスクリーニングを行えば付加的利益を捉えられる可能性があります。

なぜ重要か

GLP-1RAが飲酒量を減少させることをヒトと動物の両方で示し、公衆衛生上重要なAUDに対する迅速な臨床試験の根拠となります。同時にDPP-4阻害薬の無効性を明確化しました。

限界

  • 観察研究であり自己申告のAUDIT-Cに依存し、残余交絡の可能性がある。
  • VA集団での一般化可能性に限界があり、GLP-1RAクラス内の機序や用量反応はRCTでの検証が必要。

今後の方向性

特定のGLP-1RAを対象としたAUDに対するランダム化比較試験、機序(中枢・末梢)の解明、最大の治療効果が見込まれる患者サブグループの同定が必要です。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
治療/病態生理
エビデンスレベル
II - 良好に設計された観察コホート研究(トランスレーショナル動物検証を付随)
研究デザイン
OTHER