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MTCH2は脂肪組織におけるオートファジー制御を介して熱産生を抑制する

Advanced science (Weinheim, Baden-Wurttemberg, Germany)2025-03-07PubMed
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8

概要

MTCH2は種を超えて熱産生のブレーキとして働きます。脂肪組織特異的欠失によりUCP1、ミトコンドリア新生、脂肪分解、皮下白色脂肪の褐色化が亢進し、エネルギー消費が増加して高脂肪食誘発の肥満と代謝異常から保護されました。統合オミクス解析は、MTCH2がBcl-2依存性のオートファジー抑制を介して熱産生を抑制することを示しました。

主要発見

  • MTCH2はハエ・げっ歯類・ヒトで保存されたエネルギー恒常性の負の制御因子。
  • 脂肪組織特異的MTCH2欠失でエネルギー消費が増加し、高脂肪食肥満と代謝異常から保護。
  • BATおよびscWATでUCP1、ミトコンドリア新生、脂肪分解が亢進し、scWATのベージュ化が増強。
  • RNA-seq/プロテオミクス統合解析で、MTCH2がBcl-2依存的にオートファジーを抑制し熱産生を抑えることが判明。

臨床的意義

MTCH2の阻害やBcl-2–オートファジー軸の調節により、褐色/ベージュ脂肪の熱産生を高めて肥満・代謝疾患を治療できる可能性があり、ヒトでの機序検証と安全性評価が求められます。

なぜ重要か

オートファジーと脂肪組織エネルギー消費を結ぶ保存的で創薬可能な熱産生抑制機構を解明し、摂食や吸収以外の抗肥満治療開発に道を拓きます。

限界

  • 介入的ヒト研究がなく、ヒトでのMTCH2薬理学的操作による因果検証が未実施。
  • オートファジー/熱産生の長期的増強に関する安全性は不明。

今後の方向性

選択的MTCH2モジュレーターの創製、薬理可能な下流オートファジーノードの同定、ヒト脂肪細胞系および早期臨床での有効性・安全性評価。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
IV - 脂肪組織特異的遺伝子改変とマルチオミクス解析による前臨床機序研究
研究デザイン
OTHER