肥満に伴う脂肪組織線維化を制御するマクロファージと線維芽細胞間の新規細胞間コミュニケーション
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
食餌誘発性肥満マウスの単一細胞・空間トランスクリプトミクスにより、クラウン様構造のMincle陽性マクロファージがオンコスタチンMを介して近傍線維芽細胞のコラーゲン発現を抑制することを同定しました。免疫細胞でのOsm欠損は脂肪組織線維化を悪化させ、ヒト脂肪組織でもMINCLE–OSM発現の相関が確認されました。肥満時の線維化を抑制する免疫代謝軸を示します。
主要発見
- 肥満脂肪組織のクラウン様構造に局在するMincle陽性マクロファージ亜集団を同定。
- MincleシグナルによりオンコスタチンMが上昇し、脂肪組織線維芽細胞のコラーゲン遺伝子発現が抑制された。
- 免疫細胞でのOsm欠損はin vivoで線維化を増悪し、ヒト肥満脂肪ではMINCLE–OSM発現が正相関した。
臨床的意義
Mincle–OSM経路の標的化は、肥満における脂肪組織線維化や代謝合併症の抑制に繋がる可能性があります。脂肪組織生検でのMINCLE/OSM発現は線維化リスク層別化のバイオマーカーとなり得ます。
なぜ重要か
単一細胞・空間解析、in vivo機能検証、ヒト相関を統合し、脂肪組織線維化を調節する未解明のマクロファージ—線維芽細胞シグナル軸を提示しました。肥満における抗線維化治療標的の機序的基盤を提供します。
限界
- 主にマウスモデルでの機序解明であり、ヒトでの因果性は未確立。
- Mincle–OSM標的化の治療可能性と安全性の検証が必要。
今後の方向性
前臨床モデルでMincle–OSMの薬理・生物学的制御を検証し、臨床バイオマーカーを確立してヒトでの代謝アウトカムとの関連を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - in vivoマウス実験とヒト組織相関を伴う前臨床の機序研究。
- 研究デザイン
- OTHER