脂肪細胞の絶食および寒冷誘発性リポリシスにおける必須の非典型メディエーターとしてのリソソーム性リポリシスの同定
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9
概要
本研究は、絶食・寒冷曝露・β作動性刺激下でリソソーム酸性リパーゼ(LIPA)依存のリポリシスが亢進し、循環FFA、熱産生、エネルギー消費の維持に必須であることを示しました。脂肪細胞特異的なLIPA欠損は寒冷耐性を低下させ、食餌誘発性肥満に対する感受性を高め、細胞質ATGLとは独立に機能します。
主要発見
- 絶食・寒冷曝露・β作動性刺激下で脂肪細胞のLIPA発現が上昇する。
- LIPAの遺伝学的または薬理学的阻害によりリポリシス条件下の血中FFAが低下し、熱産生と酸素消費が障害される。
- リソソーム性リポリシスはATGLと独立に作動し、その欠損は食餌誘発性肥満のリスクを高める。
臨床的意義
リソソーム性リポリシス(LIPAの調節など)を標的とすることは、肥満や寒冷不耐性、代謝疾患の新規治療法につながる可能性がありますが、熱産生維持への寄与を踏まえた安全性評価が不可欠です。
なぜ重要か
生理的リポリシスは細胞質リパーゼが主役という通念を改め、全身の燃料供給と熱産生に必須なリソソーム経路を明らかにしました。
限界
- 前臨床のマウス・細胞モデルであり、ヒトへの外挿性は今後の検証が必要。
- 脂肪細胞サブタイプ間でのリソソーム性リポリシスの輸送・制御機構は未解明部分が残る。
今後の方向性
ヒト脂肪組織でのLIPA調節の解明、大動物・ヒトでの薬理学的介入評価、さまざまな代謝状態における細胞質リパーゼとの相互作用の解明が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物・細胞実験による前臨床の機序的エビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER