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SDHB欠損褐色細胞腫・傍神経節腫の多層オミクス解析により転移および治療関連分子プロファイルを同定

Nature communications2025-03-18PubMed
総合: 86.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 9

概要

94例のSDHB変異PCPGにおいて、交感・副交感由来で分子プログラムが異なり、TERT/ATRX変化が転移と関連し、変異負荷やテロメア・転写特性が特徴づけられました。アルキル化剤に対する獲得耐性として、MGMT過剰発現とMMR欠損(高変異負荷)が同定されました。

主要発見

  • 交感・副交感由来のSDHB変異PCPGで細胞起源を反映した分子プロファイルが異なる。
  • TERT/ATRX変化が転移と関連し、変異負荷増大や特異なテロメア・転写シグネチャーを伴う。
  • 大半は静かなゲノムだが、EPAS1/HIF-2αなど協調ドライバーが稀に存在。
  • アルキル化化学療法への耐性機構として、MGMT過剰発現とミスマッチ修復欠損(ハイパーミューテーション)を同定。

臨床的意義

SDHB変異PCPGでのTERT/ATRX検査を推奨し転移リスク層別化に活用。アルキル化剤や免疫療法選択においてMGMT発現やMMR状態を考慮し、試験適格性評価にも利用可能です。

なぜ重要か

転移リスク推定に有用なTERT/ATRX変化を提示し、MGMT過剰発現やMMR欠損といった治療耐性機構を明らかにして、治療選択や試験設計に資する情報を提供します。

限界

  • 観察研究であり、バイオマーカーに基づく治療意思決定の前向き検証が未実施。
  • 希少腫瘍としては大規模だが、サブグループ解析には限界がある。

今後の方向性

TERT/ATRX・MGMT・MMRの予測/予後バイオマーカーとしての前向き検証、MGMT低発現に対するアルキル化剤感受性やMMR欠損に対する免疫療法などの個別化レジメンを検討し、多層オミクス指標をリスクモデルへ統合する。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予後
エビデンスレベル
III - ゲノム特性と臨床像を関連付けた観察的分子コホート。
研究デザイン
OTHER