KLF9 mRNAに対するNAT10媒介性N4-アセチルシチジン修飾は脂肪細胞分化を促進する
総合: 88.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9
概要
NAT10がKLF9 mRNAにac4C修飾を付加して安定化し、CEBPA/B–PPARGを活性化して脂肪分化を促進する経路が同定されました。脂肪組織でのNAT10遺伝子抑制やNAT10阻害薬Remodelin投与により、高脂肪食マウスで脂肪組織拡大と体重増加が抑制されました。
主要発見
- 肥満者および高脂肪食マウスの脂肪組織でNAT10発現が上昇。
- NAT10過剰発現は脂肪分化を促進し、サイレンシングは抑制(hADSCおよび3T3‑L1)。
- acRIP‑seq/RNA‑seqでKLF9をNAT10のac4C標的として同定;NAT10はKLF9 mRNA安定性を高め、CEBPA/B–PPARG経路を活性化。
- 脂肪組織標的AAV‑shRNAによるNAT10抑制でマウスの脂肪組織拡大が減少。
- NAT10阻害薬RemodelinはKLF9 mRNAのac4Cを抑えて体重、脂肪細胞径、脂肪拡大を低下。
臨床的意義
NAT10阻害(Remodelin等)や下流のKLF9標的化は新規の抗肥満戦略となり得ます。ac4CやKLF9のシグネチャーは治療層別化・モニタリングのバイオマーカー候補です。
なぜ重要か
脂肪分化の薬剤標的となるエピトランスクリプトーム機構を解明し、in vivo有効性も示した点で、肥満治療のNAT10–ac4C–KLF9軸を提示する重要な研究です。
限界
- 前臨床段階であり、NAT10阻害のヒトでの安全性・有効性は未確立。
- RemodelinのオフターゲットやRNAアセチル化慢性抑制の影響評価が必要。
今後の方向性
選択的NAT10阻害薬の安全性/薬物動態と代謝有効性を大型動物で検証し、脂肪組織特異的送達法を開発。ヒト肥満試験でac4C/KLF9バイオマーカーを評価。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理/治療
- エビデンスレベル
- V - 細胞・動物モデルによる前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER