セリンプロテアーゼKLK7は肥満における内臓脂肪組織への免疫細胞浸潤を促進する
総合: 80.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
マクロファージ特異的KLK7欠損マウスを用い、高脂肪食下でKLK7が内臓脂肪組織における炎症性マクロファージの浸潤・活性化を駆動することを示しました。1,143例のヒト内臓脂肪組織ではKLK7発現が細胞遊走・炎症経路に関連し、肥満・糖尿病例では血清KLK7が炎症マーカーと強く相関しました。
主要発見
- マクロファージ特異的KLK7欠損マウスでは、高脂肪食下で全身炎症が低下し、精巣上体脂肪での炎症性マクロファージの浸潤・活性化が減少しました。
- Klk7欠損によりマクロファージの炎症関連遺伝子発現が低下し、接着性亢進を介して遊走が抑制され、肥満脂肪組織に特徴的な表現型が改善しました。
- ヒト内臓脂肪組織1,143例でKLK7発現は細胞遊走・炎症経路に関連し、別コホート(n=60)では血清KLK7が循環炎症マーカーと強く相関しました。
臨床的意義
KLK7阻害薬などの標的治療により、減量に依存せず内臓脂肪炎症やインスリン抵抗性の軽減が期待されます。血清KLK7は免疫代謝治療の患者層別化にも有用となり得ます。
なぜ重要か
KLK7が脂肪組織炎症の機序的ドライバーであることをマウスとヒトで示し、肥満から脂肪機能障害を切り離す創薬標的として有望です。
限界
- ヒトデータは横断研究であり、因果推論に制約があります
- in vivoでの薬理学的KLK7阻害の検証がなく、創薬可能性と安全性の実証が未了です
今後の方向性
選択的KLK7阻害薬/バイオロジクスの開発と前臨床・早期臨床試験での有効性・安全性評価、血清KLK7の患者選択や治療反応性バイオマーカーとしての検証を進めるべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 機序解明の動物実験にヒト横断コホートを付加した証拠であり、臨床介入は未実施
- 研究デザイン
- OTHER