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妊娠糖尿病における血管新生障害は後期妊娠でのコハク酸/SUCNR1軸の調節異常に関連する

The Journal of physiology2025-03-31PubMed
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8

概要

臨床サンプルと内皮機能アッセイを組み合わせ、分娩期のコハク酸上昇と、正常条件でのSUCNR1活性化による臍帯内皮の血管新生促進を示した。妊娠糖尿病ではコハク酸の蓄積とSUCNR1の低下により、SUCNR1依存の血管新生遺伝子プログラムやスプラウティング/チューブ形成が鈍化し、胎盤血管新生障害への関与が示唆された。

主要発見

  • 周産期に母体・胎児循環のコハク酸濃度は自然に上昇する。
  • GDMの臍帯ではコハク酸の蓄積とSUCNR1の発現低下がみられる。
  • SUCNR1活性化は健常妊娠由来HUVECでスプラウティングとチューブ形成を促進するが、GDM由来では促進しない。
  • GDMは臍帯内皮におけるSUCNR1介在の血管新生遺伝子調節を障害する。

臨床的意義

まだ橋渡し段階だが、コハク酸シグナルの調整やSUCNR1反応性の回復がGDMの胎盤血管新生を改善し得る。コハク酸やSUCNR1発現のバイオマーカー化はリスク層別化に資する可能性があります。

なぜ重要か

胎盤血管新生を制御する新規代謝シグナル軸(コハク酸/SUCNR1)を特定し、GDMでの破綻を示した機序的知見であり、治療標的の可能性を拓きます。

限界

  • ヒトでの因果関係は推論にとどまり、サンプルサイズや縦断的追跡の詳細が限られる
  • GDMに伴う他の代謝変化の交絡が完全には統制されていない

今後の方向性

大規模妊娠コホートでコハク酸/SUCNR1バイオマーカーを検証し、薬理学的または栄養学的介入でコハク酸経路を調整して血管新生を回復できるかモデルで検討します。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
II - 観察的ヒトデータと機序的in vitro実験の統合
研究デザイン
OTHER