β-ヒドロキシ酪酸はリジンβ-ヒドロキシブチリル化を介してケトン体代謝の調節因子として機能する
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
β-ヒドロキシ酪酸はOXCT1のリジンβ-ヒドロキシブチリル化(K421)を高め、その活性を上昇させて飢餓時のケトン利用を促進し、代謝恒常性を維持します。SIRT1とCBPがOXCT1の脱アシル化酵素および転移酵素候補として機能し、β-HBのケトン体代謝におけるシグナル機能を明らかにしました。
主要発見
- 飢餓時のin vivoおよびin vitroでβ-HBはOXCT1とHMGCS2のKbhb増加と相関し、再摂食で低下した。
- OXCT1のK421におけるKbhbは酵素活性を高め、当該部位変異は活性を低下させた。一方HMGCS2活性は影響を受けなかった。
- SIRT1とCBPがOXCT1のKbhbに対する脱アシル化酵素および転移酵素候補として同定された。
臨床的意義
前臨床段階ながら、OXCT1のKbhbやSIRT1/CBP経路を標的として、断食適応、ケトジェニック食、糖尿病、ケトーシス傾向の病態におけるケトン体処理を調節する可能性が示唆されます。
なぜ重要か
β-HBがOXCT1のKbhbを介してケトン体代謝を直接調節する新規翻訳後修飾機構を提示し、代謝シグナルと酵素制御を橋渡ししたため。
限界
- 前臨床モデルであり、ヒト組織での検証や臨床的妥当性は未確立
- 臓器横断的なKbhb動態や病態での包括的マッピングが未完了
今後の方向性
ヒト組織でのOXCT1 Kbhb検証、SIRT1/CBPの制御回路の解明、Kbhb薬理操作の代謝疾患モデルでの検討が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - マウスモデルおよび細胞系による前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER