鼻腔内キスペプチン投与は人においてゴナドトロピン分泌を迅速に刺激する
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
無作為化二重盲検クロスオーバー試験で、鼻腔内キスペプチン-54は健常男性・健常女性・視床下部性無月経患者の血清LHを迅速に上昇させ、副作用は認めなかった。製剤学的検討で鼻腔内送達と安定性を確認し、動物実験で嗅球のGnRH経路関与が示唆された。
主要発見
- 鼻腔内キスペプチン-54(12.8 nmol/kg)は健常男性(+4.4 IU/L;差3.1 IU/L, P=0.002)、健常女性(+1.4 IU/L;差1.0 IU/L, P=0.004)、視床下部性無月経患者(+4.4 IU/L;差4.3 IU/L, P<0.001)でLHを有意に上昇。
- 有害事象は認めず、点鼻製剤は4℃で60日まで安定。
- 齧歯類でLH上昇と嗅上皮での蛍光標識キスペプチン集積、嗅球GnRH神経の受容体発現を確認し、機序を支持。
臨床的意義
鼻腔内キスペプチンは視床下部性無月経等に対する注射療法の患者受容性の高い代替となり得るほか、GnRH/LH軸評価の刺激試験への応用も期待される。
なぜ重要か
鼻腔内キスペプチンが非侵襲的に人のゴナドトロピンを刺激できることを初めて堅固に示し、生殖内分泌疾患の治療パラダイムを変え得る。
限界
- 抄録からは症例数・期間が不明で、長期の有効性・安全性は未確立。
- より広い生殖内分泌疾患への一般化や至適用量の最適化には追加試験が必要。
今後の方向性
排卵・妊娠率などの転帰を評価する大規模・長期RCTを実施し、既存療法との比較を行う。外来使用に適した用量・送達方法の最適化が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化二重盲検クロスオーバー・プラセボ対照のヒト試験で機序データを付随。
- 研究デザイン
- OTHER