主要な甲状腺癌関連症候群の集団有病率

概要

All of UsとUK Biobank（70万人超）で、MEN2とPHTSの有病率は従来推定より大幅に高く、RET V804M/Lなどの保有者の多くは甲状腺癌を発症していません。特に中等度リスクのRET変異に対する遺伝学的検査とサーベイランスの見直しを支持します。

主要発見

• MEN2（RET）、PHTS（PTEN）、FAP（APC）はロジスティック回帰で甲状腺癌と有意に関連した。
• 推定有病率：MEN2はAll of Usで約1:2172、UK Biobankで1:2348、PHTSは1:8764と1:13043、FAPは1:8461と1:8238。
• RET V804M/LがAll of UsにおけるMEN2変異の65%を占め、これら保有者には甲状腺癌診断例がなかった。

臨床的意義

RET、PTEN、APC変異保有者への遺伝学的検査の適応拡大と個別化サーベイランスを検討すべきです。甲状腺癌の浸透率が低い中等度リスクRET変異（例：V804M/L）では、リスク説明を丁寧に行う必要があります。

限界

• 横断研究であり、表現型の誤分類や臨床評価の不十分さが残る可能性
• ClinVar注釈に依存し、浸透率や表現度の詳細は未解明

今後の方向性

前向き浸透率研究と検査適応のガイドライン更新、中等度リスクRET保有者におけるサーベイランス戦略のアウトカム評価。