GDF15は脂肪組織リポリシスを不安と結び付ける
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
白色脂肪組織でのβアドレナリン刺激や急性ストレスにより、脂質分解とM2様マクロファージ活性化を介してGDF15分泌が誘導される。不安様行動はGFRAL欠損マウスで消失し、代謝と行動を結ぶ末梢内分泌軸(GDF15→GFRAL)が実証された。
主要発見
- アドレナリン、β3作動薬CL316,243、急性拘束ストレスは白色脂肪組織からのGDF15分泌を誘導した。
- 脂質分解で生じた遊離脂肪酸がM2様マクロファージを活性化し、GDF15上昇を惹起した。
- ストレスによる不安様行動はGFRALを介しており、GFRAL欠損マウスでは消失した。
臨床的意義
GDF15–GFRAL経路を標的化することで中枢性β遮断を用いずに急性不安を抑制できる可能性がある。一方、GDF15を上昇させる治療では神経精神症状のモニタリングが必要となる可能性がある。
なぜ重要か
不安の機序として脂肪組織から脳への内分泌回路を解明し、ストレス生物学を再定義するとともにGDF15–GFRALという治療標的を提示する。
限界
- 主にマウスデータであり、ヒトへの外的妥当性は今後の検証が必要
- 脂肪組織ニッチ内の細胞間イベントの時間分解能に改善の余地がある
今後の方向性
ヒトのストレス状況での妥当性検証、急性不安に対するGFRAL拮抗薬の薬理評価、代謝状態に応じた脂肪組織の免疫‐神経連関の地図化が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の機序研究(動物モデル・細胞)
- 研究デザイン
- OTHER