腸内細菌叢による食事由来フィト栄養素の変換は健康アウトカムと関連する
総合: 84.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9
概要
3,068例の腸内細菌叢データと酵素・食品情報の統合解析により、775種の植物由来フィト栄養素を変換する酵素地図を作成し、個人差・地域差が大きいことを示した。酵素プロファイルは疾患横断で健康状態を予測し、in vitroおよびマウスで食品の抗炎症作用と酵素活性の関連を裏づけた。
主要発見
- 3,068例の腸内細菌叢で775種の植物由来フィト栄養素の変換酵素を網羅的にマッピングした。
- フィト栄養素生体内変換能には個人差・地理差が大きいことを示した。
- 酵素量に基づく機械学習モデルが2,486例の症例対照メタゲノムで健康状態を識別した。
- in vitro(例:Eubacterium ramulus)および無菌マウスで、酵素活性と食品の抗炎症作用の関連を検証した。
臨床的意義
臨床試験ではないが、酵素シグネチャーは代謝・炎症性疾患の診断補助や個別化食事処方に資し、特定変換を標的とするプレ/プロバイオティクス開発を導く可能性がある。
なぜ重要か
食事と健康をつなぐ腸内細菌の酵素学を体系化し、in vitro/in vivoで検証した基盤研究であり、精密栄養のバイオマーカー・介入標的としての酵素機能を提示する。
限界
- ヒトデータは観察的関連であり疾患アウトカムの因果推論は限定的
- 食事摂取の状況は推定であり、介入として統制されていない
今後の方向性
酵素プロファイルに基づく食事設計を検証する前向き介入試験や、特定のフィト栄養素変換を調節する標的型プロバイオティクス/酵素製剤の開発が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎・機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 無作為化介入を伴わないが、in vitro・in vivo検証を備えた機序解明のマルチオミクス研究。
- 研究デザイン
- OTHER