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過剰な激しい運動は筋由来のミトコンドリア様小胞を介して認知機能を障害する

Cell metabolism2025-12-05PubMed
総合: 84.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9

概要

過剰な激しい運動は乳酸を介して筋からotMDV分泌を促し、海馬ニューロン内のミトコンドリアを置換してcGAS–STING–KIF5抑制とPAF–シンタフィリン介在の係留障害によりシナプス代謝を損ない、認知障害を引き起こしました。PAF中和抗体で病態は改善し、ヒトでもotMDV高値と認知障害が関連しました。

主要発見

  • 過剰な激しい運動の乳酸により、mtDNA高含有かつPAF陽性の筋由来ミトコンドリア小胞(otMDV)が分泌される。
  • otMDVは海馬ニューロンへ移行し、内在ミトコンドリアを置換してシナプスのエネルギー危機を引き起こす。
  • 放出mtDNAがcGAS–STINGを活性化しKIF5依存性輸送を抑制、PAFがシンタフィリンと協働してミトコンドリア係留を阻害する。
  • PAF中和抗体は海馬へのotMDV侵入を阻止し、シナプス消失と認知障害を軽減;ヒトでもotMDV高値が認知障害と関連した。

臨床的意義

ハイリスク者での過度なトレーニング回避を支持し、循環otMDV/PAFなどのバイオマーカーやPAF阻害など標的介入の開発動機づけとなります。

なぜ重要か

運動過多による認知障害の新規「筋→脳」オルガネラ移送機構を解明し、PAFやcGAS–STING–KIF5といった介入可能な標的を提示します。

限界

  • げっ歯類の運動プロトコールはヒトのトレーニング様式・閾値を完全には反映しない可能性がある。
  • PAFの治療標的としての妥当性や長期阻害の安全性は未確立である。

今後の方向性

ヒトでのotMDV誘導の用量反応閾値の同定、循環otMDV/PAFの臨床アッセイ開発、PAFやcGAS–STING調節など標的介入の臨床試験が必要です。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
III - ヒト相関データを伴う前臨床機序的エビデンス
研究デザイン
OTHER