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コレステロールから性ステロイド生合成への迂回経路はCYP17A1を回避する

Nature communications2025-12-05PubMed
総合: 93.0革新性: 10インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9

概要

CYP51A1がオキシステロールからアンドロゲンへと変換する経路を担い、CYP17A1を回避することが示されました。57種のP450のスクリーニングと安定同位体トレーシングにより、CYP51A1のみがこの迂回を可能にし必須であることが確認され、CYP17A1阻害下でも持続するアンドロゲン産生の機序を提示します。

主要発見

  • オキシステロールからアンドロゲンへのCYP51A1媒介経路を同定し、CYP17A1を回避することを示した。
  • 57種のヒトP450のうち、CYP17A1を迂回できたのはCYP51A1のみであった。
  • 重水素標識オキシステロールのトレーシングで、迂回経路を介したアンドロゲンへの前駆体フラックスを実証した。
  • 安定同位体を用いた遺伝学的解析により、この生合成経路にCYP51A1が必須であることを示した。

臨床的意義

オキシステロール中間体やCYP51A1活性を指標とするバイオマーカー開発や、アビラテロン等のCYP17A1阻害薬抵抗性を克服する併用戦略の設計に寄与し得ます。

なぜ重要か

ステロイド生合成のパラダイムを転換し、CYP17A1阻害薬に対する抵抗性の機序を説明するため、内分泌腫瘍学における新たな治療標的を拓きます。

限界

  • 主として前臨床の機序研究であり、臨床的なin vivo検証が限定的である。
  • 本経路の生理的意義や組織横断的な制御機構は未解明な点が残る。

今後の方向性

ヒトにおけるCYP51迂回経路の組織分布と制御機構の解明、CYP17A1阻害薬抵抗性前立腺癌でのCYP51A1阻害の治療評価、経路活性の体液バイオマーカー開発が求められる。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
III - 複数の検証手法を用いた機序に関する良質な基礎研究
研究デザイン
OTHER