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腎移植レシピエントにおけるSGLT2阻害薬の有効性・機序・安全性:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験

Clinical journal of the American Society of Nephrology : CJASN2025-12-12PubMed
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8

概要

腎移植レシピエント52例のランダム化試験で、ダパグリフロジンは尿糖排泄を増やし、1週・12週でイオヘキソール測定GFRの小幅な低下(急性ディップ)を示し、1週時に平均動脈圧を低下させたが収縮期血圧は低下しなかった。泌尿生殖器感染は認めず、近位尿細管のNaハンドリングや交感神経活性化の所見はなかった。非移植集団とは異なる機序の可能性が示唆される。

主要発見

  • ダパグリフロジンは収縮期血圧を低下させなかったが、1週時に平均動脈圧を3.9 mmHg(95%CI -7.5, -0.2)低下させた。
  • イオヘキソール測定GFRは1週および12週で、それぞれ4.2および3.49 ml/min/1.73m2低下した(プラセボ調整)。
  • 尿糖は増加したが、近位尿細管のNaハンドリングや交感神経活性化の変化はなく、泌尿生殖器感染は発生しなかった。

臨床的意義

腎移植レシピエントにダパグリフロジンを用いる際は、尿糖増加と早期のGFR軽度低下を見込みつつ、泌尿生殖器感染の増加は懸念が小さいと考えられる。腎・心血管アウトカムの有効性は専用試験での検証が必要である。

なぜ重要か

腎移植レシピエントという高リスク集団でSGLT2阻害薬の生理学的作用と安全性を明確化した初の二重盲検RCTであり、今後のアウトカム試験の設計と正当化に資する。

限界

  • 症例数が少なく観察期間が12週間と短いため、臨床アウトカム差の検出力が限定的
  • 主として機序評価であり、腎・心血管ハードアウトカムに対する検証力は不十分

今後の方向性

腎移植レシピエントにおけるSGLT2阻害薬の移植腎機能、心血管イベント、生存への影響を検証する十分な規模のアウトカム試験を実施し、観察された血行動態差の機序解明を進めるべきである。

研究情報

研究タイプ
ランダム化比較試験
研究領域
治療
エビデンスレベル
I - ランダム化二重盲検プラセボ対照の臨床試験
研究デザイン
OTHER