腎移植レシピエントにおけるSGLT2阻害薬の有効性・機序・安全性:ランダム化二重盲検プラセボ対照試験
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8
概要
腎移植レシピエント52例のランダム化試験で、ダパグリフロジンは尿糖排泄を増やし、1週・12週でイオヘキソール測定GFRの小幅な低下(急性ディップ)を示し、1週時に平均動脈圧を低下させたが収縮期血圧は低下しなかった。泌尿生殖器感染は認めず、近位尿細管のNaハンドリングや交感神経活性化の所見はなかった。非移植集団とは異なる機序の可能性が示唆される。
主要発見
- ダパグリフロジンは収縮期血圧を低下させなかったが、1週時に平均動脈圧を3.9 mmHg(95%CI -7.5, -0.2)低下させた。
- イオヘキソール測定GFRは1週および12週で、それぞれ4.2および3.49 ml/min/1.73m2低下した(プラセボ調整)。
- 尿糖は増加したが、近位尿細管のNaハンドリングや交感神経活性化の変化はなく、泌尿生殖器感染は発生しなかった。
臨床的意義
腎移植レシピエントにダパグリフロジンを用いる際は、尿糖増加と早期のGFR軽度低下を見込みつつ、泌尿生殖器感染の増加は懸念が小さいと考えられる。腎・心血管アウトカムの有効性は専用試験での検証が必要である。
なぜ重要か
腎移植レシピエントという高リスク集団でSGLT2阻害薬の生理学的作用と安全性を明確化した初の二重盲検RCTであり、今後のアウトカム試験の設計と正当化に資する。
限界
- 症例数が少なく観察期間が12週間と短いため、臨床アウトカム差の検出力が限定的
- 主として機序評価であり、腎・心血管ハードアウトカムに対する検証力は不十分
今後の方向性
腎移植レシピエントにおけるSGLT2阻害薬の移植腎機能、心血管イベント、生存への影響を検証する十分な規模のアウトカム試験を実施し、観察された血行動態差の機序解明を進めるべきである。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - ランダム化二重盲検プラセボ対照の臨床試験
- 研究デザイン
- OTHER