ヒトにおける高病原性鳥インフルエンザA（H5N1）ウイルス感染

概要

米国のヒトH5N1感染46例では、結膜炎主体の軽症（93％）で入院・死亡はなく、97名の同居接触者への二次感染も検出されませんでした。抗ウイルス薬は速やかに使用されましたが、PPE使用は不十分であり、特に眼防護を含む職業曝露対策の強化が必要です。

主要発見

• 46例中、家禽曝露20例、乳牛曝露25例、曝露不明1例。
• 大半が軽症で、結膜炎93％、発熱49％、呼吸器症状36％。入院・死亡はなし。
• 同居接触者97名に二次感染は検出されず。
• 87％が症状発現後中央値2日でオセルタミビルを投与。
• 曝露労働者のPPE使用は不十分（手袋71％、眼防護60％、マスク47％）。

臨床的意義

曝露作業者では眼症状のスクリーニング、早期抗ウイルス投与の検討、眼防護を含むPPE徹底が重要です。公衆衛生はPPE供給・訓練の強化と、非呼吸器症状の監視体制構築が求められます。

限界

• 記述疫学で症例数が比較的少なく推定精度に限界
• 把握バイアスや遅発合併症の追跡不足の可能性

今後の方向性

眼症状優位の機序解明、農業現場でのPPE（特に眼防護）最適化、伝播性・重症度の変化を監視するゲノミクス・疫学的サーベイランスの継続が必要です。