下気道感染症患者の治療戦略と予後に対するメタゲノム次世代シーケンスの影響:系統的レビューとメタアナリシス
総合: 78.5革新性: 7インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 8
概要
12研究の統合解析で、LRTIにおけるmNGSの使用は抗菌薬変更率を増加(OR 2.47)させ、院内死亡の低下(OR 0.49)と関連しました。成人例、重症例、BALFのみの検体解析でも一貫した傾向で、入院期間は不変でした。重症LRTIの診療・薬剤最適化にmNGS導入を支持します。
主要発見
- mNGSはLRTIにおける抗菌薬変更率を上昇(OR 2.47, 95%CI 1.42–4.28)。
- mNGS使用は院内死亡の低下と関連(OR 0.49, 95%CI 0.36–0.67)。
- 入院期間への有意な影響は認めず(平均差 −1.79日, 95%CI −5.20〜1.63)。
- 成人例・重症LRTI・BALFのみの検査でも一貫した有益性が示唆。
臨床的意義
重症または診断不確実なLRTIでは、特にBALF検体でmNGSの活用を検討し、抗菌薬の的確化とAS(抗菌薬適正使用)を推進すべきです。結果は迅速な多職種カンファレンスに組み込み、診断利得を治療変更に直結させます。
なぜ重要か
病原体非依存のシーケンシングを、治療方針変更と生存改善に直接結びつけた点で、呼吸器感染診断領域では稀なアウトカムレベルのエビデンスです。
限界
- 統合エビデンスの多くが観察研究で、対象・mNGSプラットフォームの不均一性がある。
- 出版バイアスとRCTの不足、結果報告までの所要時間の標準化欠如。
今後の方向性
mNGSの導入(所要時間・行動プロトコルを規定)を組み込んだ多施設前向きRCTで、生存利益と費用対効果の検証が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- II - 主に観察研究(RCTを一部含む)に基づく系統的レビュー/メタアナリシス。
- 研究デザイン
- OTHER