インフルエンザ感染早期の好中球応答不全はウイルス複製と肺炎症を助長する
総合: 82.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
比較マウスモデルで、感染早期の好中球動員と効果器機能(NET・ROS)がインフルエンザ制御と生存を規定した。機能的好中球の養子移入でウイルス排除と炎症性メディエーターが回復したことから、早期の好中球能力が重症化の鍵であることが示された。
主要発見
- 自己限局用量のPR8がA/Jマウスでは致死的で、B6に比し高ウイルス量・顕著な好中球増多・血管漏出を呈した。
- A/J由来好中球は感染早期のNET放出とROS産生が低下していた。
- B6好中球の養子移入はA/Jマウスでウイルス排除を促進しCXCL1・IL-6拡散を抑制したが、A/J好中球では効果がなかった。
- B6好中球はA/J好中球より強いin vitroウイルス殺傷能を示した。
臨床的意義
感染早期の好中球動員・機能を強化する治療や、遅発性の好中球依存性傷害を回避する免疫調節のタイミング最適化により、重症インフルエンザや他の呼吸器ウイルス感染の転帰改善が見込まれます。
なぜ重要か
感染早期の好中球能力が転帰の因果要因であることを特定し、自然免疫のタイミングと調節という介入可能な概念を提示する機序研究であるため重要です。
限界
- マウスモデルはヒトの病態生理を完全には再現しない可能性がある
- 好中球機能差の分子基盤は本研究では特定されていない
今後の方向性
感染早期の好中球能力を規定する分子の同定、タイミングを最適化した宿主標的治療の検証、ヒトコホートやex vivoヒト系での確認が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究(動物モデル)
- 研究領域
- 病態生理/治療
- エビデンスレベル
- III - 機能介入(養子移入)を伴うマウスでの対照付き機序研究
- 研究デザイン
- OTHER