ヒトACE2トランスジェニックブタはSARS-CoV-2に感受性を示し、COVID-19様疾患を発症する
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
SARS-CoV-2の産生性感染を支持するヒトACE2発現ブタを樹立し、重症ヒトCOVID-19に類似する臨床徴候と肺の免疫病理を再現しました。上・下気道で感染7日目までウイルス増殖が検出されました。
主要発見
- ヒトACE2発現ブタは感染7日目まで鼻甲介・気管・肺でSARS-CoV-2の増殖を示した。
- 発熱、咳嗽、呼吸困難といったCOVID-19に一致する臨床症状を呈した。
- 肺組織で致死的ヒトCOVID-19に類似する免疫病理所見が観察された。
臨床的意義
前臨床段階ながら、本モデルは病態生理に忠実な評価を通じ、呼吸器用抗ウイルス薬・ワクチン・免疫調整薬の用量・投与経路・安全性検討を加速させ、臨床試験設計に資する可能性があります。
なぜ重要か
ブタにおける初の堅牢なCOVID-19大動物モデルを確立し、マウスでは困難な機序解明やワクチン・治療薬評価、橋渡し研究を可能にします。
限界
- 観察期間が感染後7日間と短い
- トランスジェニック過剰発現は内在性ACE2の分布を完全には再現しない可能性
今後の方向性
長期縦断研究の実施、変異株別病原性の検証、ワクチン・治療薬の評価、ヒト生理に近いACE2発現の最適化が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の機序的動物モデルであり、ヒトの比較アウトカムはない
- 研究デザイン
- OTHER