メインコンテンツへスキップ

ヒトACE2トランスジェニックブタはSARS-CoV-2に感受性を示し、COVID-19様疾患を発症する

Nature communications2025-01-18PubMed
総合: 90.0革新性: 9インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9

概要

SARS-CoV-2の産生性感染を支持するヒトACE2発現ブタを樹立し、重症ヒトCOVID-19に類似する臨床徴候と肺の免疫病理を再現しました。上・下気道で感染7日目までウイルス増殖が検出されました。

主要発見

  • ヒトACE2発現ブタは感染7日目まで鼻甲介・気管・肺でSARS-CoV-2の増殖を示した。
  • 発熱、咳嗽、呼吸困難といったCOVID-19に一致する臨床症状を呈した。
  • 肺組織で致死的ヒトCOVID-19に類似する免疫病理所見が観察された。

臨床的意義

前臨床段階ながら、本モデルは病態生理に忠実な評価を通じ、呼吸器用抗ウイルス薬・ワクチン・免疫調整薬の用量・投与経路・安全性検討を加速させ、臨床試験設計に資する可能性があります。

なぜ重要か

ブタにおける初の堅牢なCOVID-19大動物モデルを確立し、マウスでは困難な機序解明やワクチン・治療薬評価、橋渡し研究を可能にします。

限界

  • 観察期間が感染後7日間と短い
  • トランスジェニック過剰発現は内在性ACE2の分布を完全には再現しない可能性

今後の方向性

長期縦断研究の実施、変異株別病原性の検証、ワクチン・治療薬の評価、ヒト生理に近いACE2発現の最適化が望まれます。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 前臨床の機序的動物モデルであり、ヒトの比較アウトカムはない
研究デザイン
OTHER