MA104細胞株はヒトボカウイルス1型感染に感受性を示す
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 9
概要
36種の細胞株スクリーニングにより、HBoV1の侵入・複製・感染性粒子産生まで全生活環を支持する初の感受性細胞株MA104が同定されました。I型インターフェロン経路の抑制は複製を促進し、トランスクリプトーム解析は自然免疫や膜関連経路の関与を示しました。
主要発見
- 29のヒト、7の動物細胞株の中で、MA104のみがHBoV1の全生活環(侵入・複製・感染性子孫産生)を支持した。
- インターフェロン経路の抑制はMA104細胞でのHBoV1ゲノム複製を促進した。
- RNA-seqにより、感染に伴い自然免疫や炎症応答、PI3K-Akt/MAPKシグナル、膜系の再構築が活性化されることが示された。
臨床的意義
直接の診療変更はないものの、感受性細胞株の確立により、HBoV1関連呼吸器疾患の診断法、抗ウイルス薬、ワクチンの開発・評価が加速します。
なぜ重要か
臨床的に重要な呼吸器病原体HBoV1の全生活環培養を可能にする初の細胞系であり、機序解明や抗ウイルス薬・ワクチン開発を加速させます。
限界
- 結果はin vitroであり、病原性のin vivo検証がない。
- MA104はヒト由来ではない(サル腎由来)細胞であり、ヒト気道上皮への直接的な外挿に限界がある。
今後の方向性
MA104を用いたハイスループット抗ウイルススクリーニングやワクチン研究、受容体・侵入因子の同定、ヒト気道オルガノイドでの検証を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例集積
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- IV - 臨床対象を含まないin vitroの機構解明実験
- 研究デザイン
- OTHER