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Fc結合ナノディスクは進化するSARS-CoV-2変異株に対して中和効果が低下した抗体の抗ウイルス効果を回復させる

Journal of nanobiotechnology2025-01-25PubMed
総合: 80.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 9

概要

鼻腔内併用されたFc結合ナノディスクは、気道局所での抗体滞留を延長し中和能を高め、ソトロビマブのオミクロン株に対する有効性を回復させ、sACE2-Fcの活性も増強した。ACE2トランスジェニックマウスでは、肺ウイルス量をsACE2-Fc単独に比べ2log以上追加で低下させた。

主要発見

  • Fc結合ナノディスクは喉頭・気管での抗体滞留を延長し、上気道での中和能を強化した。
  • ソトロビマブのナノディスク複合体は、試験したオミクロン系統すべてに対し強力な抗ウイルス活性を回復した。
  • ACE2トランスジェニックマウスで、ナノディスク+sACE2-FcはsACE2-Fc単独に比べ肺ウイルス力価を2log以上追加で低下させた。

臨床的意義

ヒトでの薬物動態・有効性データ待ちではあるが、既に使用中止となった抗体を含むモノクローナル抗体やsACE2-Fcの鼻腔内製剤化による曝露前後予防の開発を後押しする。

なぜ重要か

上気道送達と変異回避という双方の課題を同時に克服し、既存抗体や受容体デコイの有効性を再生し得る汎用的な鼻腔内プラットフォームを提示する。

限界

  • 前臨床段階であり、ヒトにおける薬物動態・安全性・有効性は未確立
  • ナノディスク複合体の長期粘膜滞留と免疫原性の評価が必要

今後の方向性

ナノディスク−抗体およびナノディスク−sACE2-Fc複合体の初期臨床試験、曝露前予防での注射用抗体との比較試験、製造・安定性評価の実施。

研究情報

研究タイプ
症例集積
研究領域
予防
エビデンスレベル
V - 前臨床の機序解明および動物有効性研究
研究デザイン
OTHER