気候変動時代における肺機能関連エクスポゾーム:欧州8コホート統合解析(EXPANSEプロジェクト)
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
欧州8コホート(約1万人)で、大気汚染・緑地・気温が相互作用しFEV1に関連することが示され、成人で効果がより強固でした。大気質改善や緑地増加は肺機能改善と関連しましたが、気候変動シナリオではFEV1低下が予測され、これらの有益効果が減弱しました。
主要発見
- 大気汚染・緑地・気温の相互作用がFEV1と関連し、特に成人で明瞭であった。
- 大気質や緑地の改善はFEV1の改善を予測したが、気候変動(夏季高温・冬季低温)ではFEV1低下が予測された。
- 気候変動下では大気質・緑地改善のFEV1への有益効果が減弱した。
臨床的意義
特に肺機能が低下した成人で気候要因による呼吸リスクの増大を念頭に、患者個別の予防とともに環境介入の必要性を臨床側から提言すべきです。
なぜ重要か
気候変動が大気質・緑地施策による肺機能改善効果を損ない得ることを示し、都市計画や気候保健政策に直結する知見です。
限界
- 横断解析であり因果推論に制約があり、残余交絡の可能性がある。
- 居住地ベースの曝露評価は個人の移動や屋内曝露を反映しにくい。
今後の方向性
反復測定を用いた縦断解析、脆弱集団の層別分析、気候適応策との統合評価が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- II - 複数集団を統合した良質な観察コホート解析。
- 研究デザイン
- OTHER