広範な線毛ネットワークのドッキング外れはプロテオスタシス障害と細胞運命転換を誘導し、重症原発性線毛運動不全症を惹起する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
本機序研究は、CCDC39/CCDC40変異が多線毛ネットワークのドッキングを破綻させ、多線毛性気道細胞でプロテオスタシスストレスと細胞運命転換を誘発し、運動障害だけでは説明できない重症PCDの機序を示した。PCDを、構造ネットワーク障害とプロテオスタシス応答を包含する線毛病として再定義する。
主要発見
- CCDC39/CCDC40変異はヒト多線毛細胞で多線毛ネットワークのドッキング外れを引き起こす。
- 構造破綻に伴いプロテオスタシスストレス応答が活性化し、細胞機能障害に連なる。
- 線毛ネットワーク障害に細胞運命転換が随伴し、運動障害を超える重症PCDの病態を説明する。
臨床的意義
重症PCDでは、プロテオスタシス障害や上皮の細胞運命変化が関与しうることを念頭に置くべきであり、蛋白毒性ストレスのバイオマーカーや線毛ネットワークの構造評価を診断・層別化に活用できる可能性がある。
なぜ重要か
重症PCDにおける「運動障害以外の」機序を同定し、プロテオスタシスや線毛固定機構を標的とする診断・治療の道を拓く。ヒト系でのトランスレーショナルな位置づけは気道線毛病全体に示唆を与える。
限界
- 要旨からは細胞系が中心で、in vivo検証や長期の患者データが示されていない
- PCDの他遺伝子型への一般化や頻度の定量評価は今後の検討が必要
今後の方向性
患者コホートでプロテオスタシスのバイオマーカーを検証し、線毛固定やプロテオスタシスを調節する治療候補を評価、さらに気道上皮における細胞運命転換の時間軸をin vivoで解明する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 疾患変異を用いたヒト細胞系での機序研究として良好に実施
- 研究デザイン
- OTHER