ヒストンメチルトランスフェラーゼKMT2Aは線維芽細胞で線維化促進因子PU.1を標的化して肺線維化を促進する
総合: 87.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
KMT2AがH3K4me3を介して線維芽細胞のPU.1を上方制御し、肺線維化を駆動することを示した機序研究である。線維芽細胞特異的KMT2Aノックダウン、PU.1欠損、およびKMT2A複合体阻害剤mm102はいずれもブレオマイシン肺線維化を軽減し、KMT2A→PU.1軸の治療標的性を示した。
主要発見
- IPF肺およびブレオマイシン傷害マウス肺でKMT2A陽性線維芽細胞が増加した。
- 線維芽細胞KMT2AノックダウンおよびKMT2A複合体阻害剤mm102はブレオマイシン誘発肺線維化を軽減した。
- KMT2AはPU.1プロモーターのH3K4me3を介してPU.1を上方制御し、線維芽細胞特異的PU.1欠損は線維化を抑制した。
臨床的意義
前臨床段階ながら、KMT2A阻害は既存抗線維化薬を補完しうる。またPU.1/H3K4me3シグネチャーは患者層別化バイオマーカーとなる可能性がある。
なぜ重要か
IPFを駆動する未解明のエピジェネティック経路を明らかにし、KMT2A標的化の薬理学的概念実証を示した。ヒストン修飾酵素を狙う創薬に方向性を与える可能性がある。
限界
- ブレオマイシンモデルはヒト慢性IPFの病態を完全には再現しない可能性がある
- mm102の選択性とトランスレーショナル薬理の更なる検討が必要
今後の方向性
薬物動態・薬力学に優れた選択的KMT2A阻害薬の開発、PU.1/H3K4me3シグネチャーとKMT2A活性の前向きヒトIPFコホートでの検証、既承認抗線維化薬との併用評価。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 動物モデルおよびヒト組織を用いた前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER