MERS関連コロナウイルスにおけるACE2利用の複数の独立した獲得
総合: 94.5革新性: 10インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 10
概要
ヨーロッパ由来の2種のMERS関連コロナウイルスは、既知のACE2結合部位から>45 Å離れた新規界面でACE2を利用する。105種のACE2直交体の機能スクリーニングから、ACE2 N432糖鎖などの宿主域決定因子が同定され、強力な可溶性コウモリACE2デコイの設計にも成功した。
主要発見
- cryo-EMにより、既知のACE2利用コロナウイルスとは>45 Å離れた新規ACE2結合様式が明らかになった。
- 105種の哺乳類ACE2直交体解析から、認識を制限するACE2 N432糖鎖などの宿主嗜好性決定因子を同定した。
- 強力な中和活性を有する可溶性P. nathusii ACE2変異体を設計・作製した。
臨床的意義
宿主域を規定するACE2糖鎖や単一アミノ酸制約を示し、監視優先順位付けを改善する。デコイ受容体や広域治療薬の開発にも理論的基盤を与える。
なぜ重要か
メルベコウイルスにおけるACE2結合の全く新しい様式と収束進化を示し、人獣共通感染リスク評価を刷新し対策設計に資するため。
限界
- 本研究はin vitroおよび構造解析が中心で、ヒトでの感染動態は直接検証していない。
- ACE2直交体特異性が狭く、検討株の宿主域は限定的であるため、より広範なサンプリングが必要。
今後の方向性
デコイACE2や阻害薬のin vivo検証を行い、他のメルベコウイルスクレードへ監視を拡大し、ヒト気道オルガノイドや動物感染モデルでスピルオーバー可能性を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 臨床転帰を伴わない前臨床の構造・機能ウイルス学研究。
- 研究デザイン
- OTHER