INHALE WP3:ICU内迅速シンドロミックPCRが院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎の抗菌薬スチュワードシップと臨床転帰に与える影響を評価した多施設オープンラベル・プラグマティックRCT
総合: 82.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
多施設プラグマティックRCT(n=554)で、ICU内迅速シンドロミックPCR(任意ガイダンス併用)は24時間時点の適正・相応な抗菌薬使用を標準治療比で21%改善したが、14日治癒の非劣性は示されなかった。二次評価項目(死亡、ΔSOFA)は統計学的有意差はないものの標準治療が僅かに良好であった。
主要発見
- 24時間の適正・相応な抗菌薬使用は迅速PCR群76.5%、標準治療群55.9%(差21%、95%CI 13–28%)に改善。
- 14日臨床治癒の非劣性は未達(56.7%対64.5%、差−6%、95%CI −15~2%)。
- 二次評価(死亡、ΔSOFA)は標準治療群がやや良好だが明確な有意差なし。
臨床的意義
迅速PCRはHAP/VAPの初期抗菌薬選択の適正化に寄与し得るが、治癒への臨床効果が明確になるまで、診断結果に過度に依存せず臨床経過を厳密に監視しながら減量・中止を判断すべきである。
なぜ重要か
ICU肺炎における迅速多項目PCRの実装効果を現実的な環境で検証し、スチュワードシップの利点を定量化しつつ、臨床治癒に関する未解決課題を明確化したため重要である。
限界
- オープンラベルでありパフォーマンスバイアスの可能性
- 処方ガイダンスの任意適用や施設間の実装異質性
今後の方向性
PCRガイド・アルゴリズムを標準化し、治癒・死亡など患者中心アウトカムや耐性菌動向への影響を検証するクラスターRCTやステップドウェッジ試験が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- I - 多施設プラグマティック無作為化比較試験(ITT解析)
- 研究デザイン
- OTHER