綿ネズミにおけるEnterovirus D68感染は、細胞外小胞と関連したウイルス血症および神経疾患を伴う全身性炎症を引き起こす
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
免疫健常な綿ネズミでは、EV-D68呼吸器感染によりウイルス血症と呼吸器外臓器病変(炎症)が生じ、血漿由来の細胞外小胞(EVs)にEV-D68が実際に結合していました。腹腔内感染やEVs結合ウイルスの投与で中枢神経系内にウイルスが検出され神経症状を呈し、EVsがEV-D68の全身拡散を担うことをin vivoで初めて示しました。
主要発見
- 呼吸器感染後に血中および呼吸器外臓器でEV-D68が検出され、炎症を伴う全身拡散が示された。
- 血漿から精製した細胞外小胞にウイルスが物理的に結合していた。
- 腹腔内感染およびEVs結合ウイルス投与により、若齢綿ネズミで中枢神経系内のウイルス検出と神経症状が生じた。
- 細胞外小胞が呼吸器外への拡散を仲介することをin vivoで初めて実証した。
臨床的意義
前臨床段階ながら、細胞外小胞の生合成や取り込みを標的とした治療がEV-D68の拡散やAFM(急性弛緩性脊髄炎)のリスク低減につながる可能性を示唆し、抗ウイルス薬・ワクチン評価の病態モデルを洗練します。
なぜ重要か
呼吸器感染から全身性・中枢神経系病変へ至る分子機序として細胞外小胞の役割を示し、拡散阻害介入の前臨床評価に使える実用的モデルを提供します。
限界
- 前臨床の動物研究でありヒトへの直接的外挿には限界がある
- 株・種差の検討が十分ではなく、阻害介入の因果検証が未実施
今後の方向性
EV生合成・取り込みの薬理学的/遺伝学的阻害による拡散抑制の検証、EV-D68各系統やヒト検体での再現性確認、AFM臨床コホートとの統合解析が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例集積
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の動物モデルにおける機序解明実験
- 研究デザイン
- OTHER